工事を効率的に行ったり、工期を短くしたりするために、システムバスを取り入れた住宅は少なくありません。一方、そうしたシステムバスとは違った魅力を持つのが、床や壁にタイルを取り入れた浴室空間です。そこでこの記事では、浴室に使用できるタイルの選び方やタイルの適正表示の重要性を、タイルを用いた浴室の魅力と併せて紹介します。
浴室の床に使用できるタイル
浴室にタイルを施工する場合、好みの色やデザインを取り入れるのは、理想の雰囲気を作り出すために大切ですが、一方で、お手入れのしやすさや滑りにくさといった実用性を考慮することも重要です。特に、浴室の床に用いるタイルは、水に濡れることを前提に考える必要があります。したがって、水に濡れてもなるべく足が滑りにくいタイルを選ぶことが求められます。どのようなタイルが浴室の床に適しているかは、タイルの適正表示を確認することで判断することが可能です。適正表示は、イラスト、記号、言葉を組み合わせてわかりやすく表示されているため、タイル選びの参考にすることができます。
例えば、「浴室床」という適正表示の場合、丸印(○)や二重丸印(◎)、またはバツ印(×)などによって、そのタイルが浴室の床に使用できるかどうかが示されます。その他にも、「屋内床」、「屋内壁」、「屋外壁」、「耐凍害」といった用途区分があり、それぞれのタイルに適した使用場所を知ることができるのです。適正表示の「浴室床」に丸印や二重丸印がついているタイルであれば、水に濡れても比較的滑りにくいタイルであるため、浴室の床に使用することができます。
また、屋外の床用のタイルであっても、なかには浴室の床に使用できるタイルがあります。そうしたタイルには「屋外床」と「浴室床」に、ともに丸印や二重丸印の適正表示があるでしょう。こういったタイルであれば、屋外用であっても、浴室の床に使用できます。ただ、屋外用であるため、浴室で素足で触れるタイルとしては、ザラつきが気になることも少なくありません。したがって、屋外用のタイルを浴室の床に取り入れる場合は、事前にサンプルで使用感を確認することが大切です。
浴室の壁に使用できるタイル
浴室の壁にタイルを使用する場合、床に使用するタイルほど滑りにくさを気にする必要はないでしょう。一方、掃除のしやすさや、凍害を受けないタイルであるかといった点を考慮して、浴室の壁のタイルを選択することが大切です。また、タイルの適正表示には、浴室の壁に使用できることを表す用途区分がありません。したがって、浴室の壁に使用するタイルを選ぶ際は、「屋内壁」という用途区分が丸印や二重丸印になっているものを選ぶ必要があります。
浴室の印象を左右する壁のタイルを選ぶ際、タイルの大きさや形にこだわるのも良いですが、同時に施釉加工されているタイルも選択肢の1つです。施釉タイルは掃除がしやすいという特徴があるため、浴室の壁に取り入れることで、日々のお手入れがしやすくなるというメリットがあります。加えて、タイルを施工する地域が寒冷地である場合、タイルの適正表示に「耐凍害」が丸印であるものを選ぶ必要があります。浴室ではタイルが濡れるため、寒冷地では屋内であってもタイルが凍害を受けやすいのです。特に、陶器質のタイルは吸水性が高いため、寒冷地の浴室にこうしたタイルを施工する場合は、「耐凍害」が丸印のタイルを選ぶ必要があるでしょう。
浴室にタイルを取り入れる魅力
浴室の床と壁に同系色のタイルを取り入れることで、統一感のある雰囲気の浴室に仕上げることができます。また、バスタブで体を温めながら目にすることの多い部分のタイルを、柄物にするなどの取り入れ方もデザイン性があり魅力的です。加えて、同系色のタイルで浴室内の雰囲気をまとめながらも、多少の色の変化やボーダータイルを取り入れるといった遊び心をプラスできるのも、タイルを使用した浴室作りの魅力だと言えます。
浴室にタイルを施工する際は「適正表示」の確認が欠かせない
浴室の床にタイルを取り入れる場合、タイルの適正表示の「浴室床」という表示をきちんと確認する必要があります。また、浴室の壁にタイルを使用する際は、「屋内壁」という適正表示を確認することが求められます。浴室に用いるタイルは、滑りにくさや掃除のしやすさを考慮して選択することが大切です。また、浴室をそれぞれの好みに合った雰囲気にできることも、浴室にタイルを取り入れる魅力の1つでしょう。